シャンブル(2009)
シャンブル【初回生産限定盤】
シャンブル【初回生産限定盤】
ユニコーン

まさかの再結成であった。売り上げ初動も約16万枚と、前作「SPRINGMAN」を軽々超えてしまったところが相対的にも絶対的にもいかに売れてしまったかがわかる。恥ずかしながら、「アレを買う」という目的でタワレコに向かったのは数年ぶりである。「amazonで注文してから送られて来るまでの1日が待ち遠しいから、今日帰りに買って帰る」気持ちになったのも、数年ぶりである。

つかず離れず、混じりあわないこともないけど完全にひとつにはなりきらない、そういう微妙な一体感がアルバムを聴く上でのユニコーンの魅力だとずっと思ってきた。だから、最初の2作くらいは正直言って今でも苦手だ。混ざりの悪いドレッシングのような感じがする。ビジュアルがカジュアルになって、みんな好き勝手やり始めたユニコーンが好きだった。だから僕の周りのユニコーン好きにはあまり評判のよろしくない「SPRINGMAN」も、倒壊寸前のビルディングのような、はかなく危うげで、でも首の皮一枚で繋がっている感じが気に入っている。そしてその後ほどなく解散、というストーリーも完璧だった。

昔のアルバムに比べるとこの「シャンブル」はそれほど80〜90年代のユニコーン的ポップではないし、かといって枯れ切っているわけでもない、ちょうど「SPRINGMAN」の次に出るとしたらこんな温度のアルバムかな、というのにちょうどいい中身になっている。先行シングルの「WAO!」にしても、いい意味で「若さ」が程よくスポイルされている。大騒ぎとなった「再結成」騒動とは対照的に、その自然さが心地よい。

その中でも、このブランクの間ソングライターとして、プロデューサとして、ユニコーン時代以上に経験を積んで自我が前に出てきた阿部義晴の存在が光る。ラストの「HELLO」には、以前にはなかった空気感の新しいユニコーンの姿が見える。反面「ザギンデビュー」や「キミトデカケタ」「オッサンマーチ」などは往年のユニコーンカラー。EBI曲も加えたアルバムの中盤は程よい懐かしさも交差する。共作が少ないという見方もできるが、冒頭に書いたこのバンドならではの「距離感」がユニコーンのアルバムらしい。

このアルバムは、往年のファン(ゆるいファンも含めて)が、「青春がよみがえった!」などと随喜の涙を流すようなものではない。けれど、さすが1年以上前から仕込んであっただけあって、再結成という単純で分かりやすい感傷に走っていないところがむしろ嬉しかった。過去のカタログ商売のようでない、さらっと出てきたアルバムに仕上がっている。奥田民生がインタビューで語っていた「何もなかったようにこそっと出したい」という言葉の通りになっていると思う。そしてさらっと出てきたけれど、今が詰まっていて見かけより重たいアルバムになっている。

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初回限定についているDVD「シャンブルのできるまでPart2」がとても面白かった。面白かったというか、映像の録り方がまったく変わっていない。そしてアルバムの創り方も、まったく変わっていなかった。「ユニコーンが帰ってきたなぁ」とちょっと感傷的っぽくなってしまうのは、むしろこっちを観たときかもしれない。
| 2000-(Japanese) | 2009.03.03 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) | このエントリーを含むはてなブックマーク
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ハイファイ新書(2009)
ハイファイ新書
ハイファイ新書
相対性理論

寝つきが悪いので今日買ったコレを聴きながら寝よう、と思って再生ボタンを押したところ、こんな時間にレビューを書き始めるハメになってしまった。こういうことは久しぶりだ。

クセになる、といえば一言で終わってしまうし、多分これがクセになる人はそんなものすごく多くないのかもしれないし。ここで出してる音とかを真面目にあれこれ分析してしまうのはそもそも的外れ感全開なのだが、これを聴きながら僕の頭をよぎったコトモノといえば、全体的な雰囲気で言うと生音でおしゃべりでちょっと皮肉屋のピチカート・ファイブな無機質な感じ、だけどなぜかメロディラインはたまに一世風靡セピアとか、歌詞に聞き入れば石野卓球とかふかわりょうとか韻の踏み方がSuperButterDog並に秀逸とか全体的な投げやり感があがた森魚の「IMITATION GOLD」に匹敵とか。そしてヴォーカルを聴いていて浮かんだことといえば湿度を感じないのになぜかしつこさを感じるエロさというか、具体的に言うと江口寿史の漫画の女の子が無駄な吐息交じりで音の立体感が消されたWinkのヴォーカルの片っぽだけみたいな声で歌っている姿だったりする。そして偶にバッキングの男の声が入ると、メインの女声との距離感にクラムボンのような微妙な親密さと余所余所しさを感じるのだ。

何が言いたいのか、つまり、今まで聴いたことがあるいろんなものの背景に映りこんでいる、けして主役ではないがなーんとなく引っかかった気になった要素がぐしゃぐしゃっと詰まっていて、それでいて音圧は低く音数は少なくシンプルにという、それがクセになるという所以かもしれない。全身のちょっとだけ効くツボをいっぺんに多数くすぐられているような感覚とでも申しましょうか。

あーこういうゆる〜いけどぐっとひきつけられて癖になってしまうようなもんがあるんだなあと、なんか学生の頃とかに、他とは違った面白いものを見つけた時のビリっとくる感覚を久しぶりに思い出した。歌詞の言葉の選び方と、メロディとは違うリズム感、それに言葉の意味でのコントラストのつけ方が抜群。それでいて音になるとそのもう一層奥のほうからさらなる意味やエネルギーみたいなものが滲んできてしまう。

ヘッドフォンでクロスフェードで聴くと、このクセに引っ掛かる人は一気にこのアルバムの中に落ちていけます。面白いし、中毒性が高い。眠れない。
| 2000-(Japanese) | 2009.01.15 Thursday | comments(0) | trackbacks(0) | このエントリーを含むはてなブックマーク
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まっくらやみのにらめっこ(2008)
まっくらやみのにらめっこ
まっくらやみのにらめっこ
オフィシャルWebサイトで一部視聴可能


たまには書くよ。

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で、たぶんこのまま行くと今年一番のアルバムはこれだ。

2クール」という、もたいまさこと小林聡美が2人で繰り広げるゆるーい番組がちょっと前にあったのだが、そのエンディングを唄っていたのがこのハンバートハンバートで、その番組を観るまでは、この男女のユニットのことを知らなかった。名前を聞いたことがあるのかどうかも思い出せないくらい。

そのエンディングの唄はこのアルバムには入っていない。(iTSで買えます「罪の味」※)けれども、アコースティックで音自体はほんわかしているのだけど、なんとなく「許してくれなさそうな」佐野遊穂の声に惹かれた。そして番組のエンディングではなぜかメイドのような格好をしたもたい&小林が踊る。その対比が面白かった。

それで、過去作も含めてアルバムを聴いてみた。最新のこの「まっくらやみのにらめっこ」は特によかった。妙な「アコースティック=ほんわかor癒し」みたいなものは陰をひそめ、生音の暖かさときびしさがよく出ている。佐野遊穂の声もそうだが、生音でそのきびしさを表現できるのは、ひょっとしたらこの人たちが随一かもしれない、とさえ思う。M1の「バビロン」などは、これはまごうかたなきロックンロールであり、佐藤良成と佐野遊穂の声の相性の良さがとてもよく出ている。テンポが遅くても、音数が少なくても、高揚感はこうやっても出せるのだ。

フィドルやハープ、そしてアコースティックギターというブルースっぽい音の種類でありながら、それぞれの曲の歌詞世界がうまくそれを日本のブルーズのようなところに変化させて繋げているのも彼らの良いところ。歌詞が言葉を吟味されてつくられ、ともすればつくりもののように聞こえてしまうストーリーに、リアリティ豊かな毒がまぶされている。そしてそれが、「どこかで聴いたような懐かしさ」「癒し」みたいなものを吹っ飛ばす。しみるけれども、ある意味痛い曲が多い。それはすごいことだと思う。

※罪の味-iTunes Music Store-
hanba-to hanba-to - Tsumi No Aji - Single - tsumi No Aji

| 2000-(Japanese) | 2008.09.30 Tuesday | comments(0) | trackbacks(0) | このエントリーを含むはてなブックマーク
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